稲田の風景 〜ゆめしなの〜
稲穂が枝垂れる九月下旬、稲田の広がる風景を見てきました。
夏に見た緑が広がり戸隠連峰を眺められるこの田園地帯、今度は素晴らしい黄金色に様変わりしていました。晴れ渡った青空に稲穂の黄金色が映え、おまけに私の好きなトンボもたくさん飛び交っていました。
頬をつたう風がほどよく冷たくて本当に気持ちの良い場所です。
ちょうどこの日は、稲刈りが盛んに行われていました。撮影中、ある農家の方とお話しすることができました。
その方は、まだ働き盛りの女性です。稲刈りの作業をしていましたが、その手を止めて話してくれました。
今までは兼業でお米を作ってきたそうですが、来年からは、今の職場を辞めて、お米づくりに本腰を入れるのとのこと。「お米を作ることが生き甲斐で楽しい」と。楽しそうにそして熱心に、お話ししてくださいました。
お米作りが好きなんだなぁ。お米への愛情がひしひしと伝わってきました。
稲刈りの頃、コスモスとはざがけ(稲架)
そのお米の品種は、『ゆめしなの』と言います。高冷地向けの品種で、希少なお米なんだそうです。
母親がコシヒカリ、父親は空育143号(北海道品種のきらら397の孫)。この田んぼでは、農薬もとことん減らし、播種前のもみ殺菌と、除草剤が一回のみ。
試しにと今年出来たばかりの新米『ゆめしなの』を試食分、少し分けていただけることになりました。この撮影の二週間の後、わざわざお米を届けてくださり、我が家の食卓にも『ゆめしなの』が並びました。新米だけあって、お米は水分たっぷりキラキラと輝いていました。粒もしっかりしていて、美味しくいただきました。本当に感謝です。
こちらは、棚田で有名な長野県千曲市の姨捨です。棚田から千曲市や善光寺平を見渡すことができます。
手を広げた案山子が稲を見守る
嬢捨
嬢捨は観月の名所として知られ、平安時代の頃から万葉集にも詠まれた場所。
江戸時代から明治にかけて開田が大きく進むにつれ、小さな棚田に映りこむ月影が一層注目されるようになった。 斜面に並ぶ不揃いな形の田んぼそれぞれに月が移りゆくことを「田毎の月」と言い表し、嫉捨の田毎の月は松尾芭蕉や小林一茶など多くの俳人が訪れ、歌句の題 材にもなっている。(千曲市のホームページより)
観光地だけあって、この日も棚田をガイドが観光客の案内をしていました。
この姨捨の棚田には一体何枚の田があるのでしょう。山の斜面なので見晴らしはいいですが、傾斜はキツいので小さい一枚の田を作るにはきっと難儀したはずです。よく作ったなぁと関心ます。
戸隠の田んぼも実は棚田になっていて、昔から先祖代々受け継がれて来た田んぼなんだそうです。
私は毎日食べているお米を、あのような情熱を持って、心を込めて作っている方を知ることができて本当に良かったです。
作っている人が分かるというのはいいものですね。この『ゆめしなの』を食べる度に、作ってくれた人の顔を思い浮かべるし、米一粒たりとも残すことなどもできやしませんから。